数年前までは花粉症の治療法といえば薬で症状を抑えることくらいしかありませんでしたが、2年前に話題になった「舌下免疫療法」というのが画期的な治療法として広がりつつあります。
かくいう私も近くのクリニックで舌下免疫療法を受けており、今年の6月で丸2年になります。
3~5年の治療が推奨されているためあと3年は通うつもりですが、2割の人が完治するとの報告があるのでそれに期待しています。
そんな中、九州大学の研究グループがカプセルを一定期間飲むことで花粉症の症状が改善する治療法を開発したとの発表があったんです。
その記事を詳しく見てみると、何と2カ月毎日1カプセル飲むだけでOKなんだとか。
3~5年の面倒な治療を続けなければならない舌下免疫療法に比べてたったの2カ月・・・
しかもカプセルを飲むだけなんて・・・
これまで2年間の面倒な治療は何だったのか・・・
詳しく中身を見てみると・・・
スギ花粉をカプセルに詰め込む
この治療法の考え方というのが意外とオーソドックスで、スギ花粉の抗原を腸で消化吸収させて身体に慣らすというもの。
これは舌下免疫療法と同じで、
どうやって体内に吸収させるのか?
ということ。
つまり舌下から吸収させるのか、腸から吸収させるのかということ。
だったら何故、舌の下にスギ花粉の抗原を滴下するような面倒なことしか思いつかなかったのか?
実際に私も治療中なのでよくわかりますが、毎日昼食後(時間帯は自由)にスギ花粉エキスを舌の下に滴化し、スマホのストップウォッチを使用して2分後に飲み込むようにしています。
その後5分間は飲食はできませんし、滴下前後2時間は激しい運動はアナフィラキシーショックの懸念があるためにできません。
これを毎日です。
1日くらいなら忘れても問題ないそうですが、2日以上忘れるとまた最初からやり直しです。
もちろん旅行に行っても治療は行わないといけません。
しかもスギ花粉抗原を含むエキス「シダトレン」は冷蔵保存が原則です。
なので舌下免疫療法を始めると気が休まることが無いのです。
そう考えると、どう見てもカプセルにスギ花粉の抗原を詰め込んで飲んだほうが簡単にきまっているし・・・
それもたった2カ月で完了してしまうんですから。
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過去に重い副作用があった
それにはちょっと事情があって、20~30年前にスギ花粉の抗原を腸で吸収できないかと裸のまま飲んでみたそうです。
ところが腸に行くまでに胃で吸収されてしまい、副作用があって打ち切られたんだそうです。
その副作用があまりに激しかったため飲ませることを自体に恐怖を感じたのかもしれません。
おそらく「アナフィラキシーショック」を警戒してのことだと思います。
というのも、私も舌下免疫療法を始めるにあたって、最初の一回だけは主治医の監視のもとでシダトレンを滴化し様子を観察され、主治医が言うには「アナフィラキシーショック」が起こるといけないからと言うのです。
つまり過去に実験を行ったところアナフィラキシーショックが実際に起こったからこそこのような対応をされたのだと思います。
このような経緯があってしばらくは他の方法が模索されていたのかもしれませんね。
胃では溶けないカプセルにスギ花粉を詰め込む手法を開発
そこで今回発表されたのが、多糖体の一種「ガラクトマンナン」と呼ばれる材料でカプセルを作り、その中にスギ花粉の抗原を詰め込むという手法。
これだと胃では溶けずに腸で吸収させることが可能になったんだそうです。
腸は体内でも最大数の免疫細胞が集まっている場所で、これにスギ花粉を慣らしてアレルギーの症状を緩和させるというもの。
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花粉症患者53人で実験で確認
今回の発表によれば花粉症の患者22~65歳の53人に対して、実際にスギ花粉の抗原を入れたカプセルと、「プラシーボ現象」を狙った何も入っていないカプセルを飲ませて観察したところ、明らかにスギ花粉の抗原が入ったカプセル
を飲んだ患者に症状の改善が観られたんだそうです。
また目立った副作用も無かったことから実用化出来るのではないかと注目されているとのこと。
ただこの治療法はまだ研究段階で詳しいデータは集まっていないそうです。
スギ花粉は合成のものではなく天然のスギから抽出した抗原を使用しているため、製造コストと安全性がまだ不確定みたいなんです。
今後さらに研究を進めて実用化を目指しているとのこと。
私の個人的意見ですが、花粉症はスギ花粉だけでなくヒノキ花粉をはじめ様々な花粉や埃などに反応する人も多いといいます。
特にスギ花粉症の患者は殆どがヒノキ花粉に反応すると言われています。
私もスギやヒノキだけでなく他の植物や埃などに反応して症状が出てくるので、
舌下免疫療法を2年続けていますが、スギ花粉に対しては症状が軽くなりましたが、ヒノキに対しては殆ど効果は感じません。
なので現在のスギ花粉だけの舌下免疫療法ではなくて、ヒノキや他の植物などに対応できるようにしてほしいと思います。
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3~5年という長期間の治療をしなければならない舌下免疫療法に対してこのカプセルを飲むだけの治療はたった2カ月で完了してしまうといいますから、多少コストはかかっても全ての抗原に対応できるように研究を進めていただきたいものですね。
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