歯周病とは歯の土台である歯肉や骨が炎症してしだいに歯がぐらぐらになって最後には歯が抜けてしまう病です。
以前に「歯槽膿漏」と呼んでいましたが、現在「歯周病」と呼び方が変わりました。
虫歯なら痛みで気がつくので歯医者で治療してもらえば治りますが、歯周病の怖いところは気づいた時にはすでに手遅れになっていることが多いそうです。
歯周病は悪化すると歯を無くしてしまうこともあるとのことなので日頃の口内ケアが重要になります。
歯周病は歯肉炎から始まる
歯周病は、歯茎が炎症を起こす「歯肉炎」から始まります。
歯肉炎の原因は「歯垢」がほとんどで、いわば細菌の塊です。
口内にはおよそ500種類物細菌が住み着いているともいわれ、その中で歯や歯茎に炎症を起こす細菌が十数種類あります。
これが「歯周病菌」です。
ただ、「歯周病菌」が住み着いていると言っても、唾液により守られています。
なので口内ケアをしっかりしておけば歯周病になることはありません。
これが日頃の歯磨きを含めた口内ケアが間違っていたり怠っていると歯と歯ぐきの間に食べカスが溜まり歯周病菌が繁殖してしまいます。
こうして繁殖した歯周病菌を放置しておくと、12時間くらいかけて歯に層を作って覆い始めます。
これが「歯垢」です。
そして1~2日ほどかけて「バイオフィルム」と呼ばれる歯垢より粘着力のある厚い層に変化していきます。
よく台所やふろ場でヌメリがあって水では落とせないことってよくありますよね。
これが「バイオフィルム」で専用の洗剤やブラシなどで念入りに洗わないと落ちません。
コレと同じで歯にへばりついた「バイオフィルム」はうがいだけでは落ちないのです。
なので日頃から歯磨きをして「バイオフィルム」を落とすようにしないといけないのです。
ただし、これでも歯と歯ぐきの間に磨き残しはあるものです。
この磨き残しにより“生き残った”歯周病菌は、やがて唾液に含まれるカルシウムと反応して「歯石」と呼ばれる物質に変化してさらに落としにくくなります。
こうして歯石に再び歯垢が重なりどんどん大きくなっていきます。
これが積み重なって歯肉炎になるのですが、これが自覚症状が無いままに歯周病へと移行してしまうのです。
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「歯肉炎」の見分け方
自覚症状が無い歯肉炎ですが、よく観察していると早期発見に繋がると言われています。
その症状とは次の通り
●歯茎が腫れている
●歯ぐきの色が赤い
●歯を磨くといつも出血する
●歯肉の先が丸くなっている
この中で1つでも該当する項目があればすぐに歯科医に診てもらいましょう。
また3か月に一度の定期検診もお勧めです。
歯周病を悪化させる口内環境
歯周病の原因は食べカスによる歯周病菌の繁殖だけではありません。
たとえ食べカスがあってもその人自身の免疫力があれば結果は変わってくるのです。
免疫力は遺伝、環境、生活習慣などである程度決まり、口内ケアに関わらず、歯周病の進行具合は様々な条件で左右されます。
たとえば歯周病のもっとも大きな要因とされている「喫煙」ですが、煙草を吸わない人に比べて歯周病になる確率が2~3倍にもなると言われ、さらに歯周病の進行度は2~7倍にもなると言われています。
これは煙草に含まれる有害物質が口内の細胞を傷つけ、血流を阻害することで免疫力が低下し細菌の繁殖を抑えることが出来なくなるからです。
したがって歯周病の治療には禁煙してもらう必要があります。
また喫煙は動脈硬化の原因にもなり心筋梗塞や脳梗塞のリスクも高まります。
歯磨きの間違った常識
テレビコマーシャルで歯ブラシいっぱいに歯磨き粉を付けて磨くシーンがありますが、専門家に言わせるとこれが良くないんだそうです。
というのは、歯磨き粉をいっぱいつけることで短時間で口の中に歯磨き粉の香りや刺激がいっぱいに広がり綺麗に磨いた“つもり”になってしまい磨き残しを作ってしまうんだそうです。
歯磨き粉というのは一般的に泡立ちを良くするために界面活性剤を配合してミントなどの香料も配合して、歯磨き後にさっぱりするように作られています。
これも利益を追求する企業の考え方なので仕方がありませんが、使う人も勉強してほしいものです。
それでは歯磨き粉はどのくらいの量なら適切なのでしょうか?
それは小豆大くらいの量で十分なんだそうです。
そもそも口内には清潔な環境を保つために唾液があり、これを歯磨き粉に含まれる界面活性剤で綺麗に洗い流してしまうのは逆効果になってしまうとのこと。
なので歯磨き粉は小豆大の量であれば適度に唾液が残り、磨き残しも無くなるんだとか。
また食後30分間は唾液が分泌されている時間帯なので歯磨きは逆効果になるそうです。
したがって食後30分過ぎてから歯磨きすることがベストといえます。
歯の病は放置して自然に治ることはほとんどありません。
日頃の口内ケアと定期検診でいつまでも健康な歯でいたいものです。