今から15年ほど前、当時6歳の息子がペルテス病にかかり、
その後の私たち夫婦の対応が参考になればと思い、
このブログに書いておくことにしました。
当時のことを思い出して出来るだけ
詳しく書いてみようと思います。
息子が片足を引きずるような歩き方に
ある日外で走り回っていた息子を見ると、
何やら左足をかばうような走り方をしているように見え、
足を捻ったのかなくらいに思っていました。
するとその日の夜に寝室のベッドで寝ていると、
寝返りを打つことも出来ないくらい膝が痛いと言いだし、
何とか体勢を整えようといろいろ試しましたが効果が無く、
最後には泣きだしてしまいました。
これではだめだと感じた私は、痛がる息子を背負って
リビングのソファまで運んで座らせることにしました。
するとどういうわけか痛みが無くなったみたいで
そのまま様子を見ていました。
そして痛みが引いてようやく大丈夫と感じた私は
息子を背負って再び寝室のベッドまで運んで寝させることが出来ました。
翌日、近くの接骨院に連れていったところ、
原因がはっきりとしないというので
とりあえず湿布薬を貼って様子を見ることに。
すると次の日には快方に向かったのでそのまま様子を見ていましたが、
1週間もするとまた同じ症状に悩まされることに。
そして次の日にまた接骨院に行って湿布の効果が無いと先生に行っても、
また同じ膝を診察して湿布を渡されるだけでした。
もちろん湿布を貼っても効果はありません。
整形外科でペルテス病と診断される
接骨院ではあてにならないと感じた私は近くの整形外科に行くことに。
そこは野球選手が何人も診察を受けているくらいの有名な病院で、
ここなら正しい診断が受けられると期待していました。
そして診察を受けた時に症状としては膝が痛いだけだったのですが、
横になって足をいろんな角度で動かして次に行ったのがレントゲンでした。
そのレントゲンというのが膝と股関節の撮影だったのです。
そしてやっと病名が「ペルテス病」と判ったのです。
ペルテス病は6歳をピークに元気な男の子に多い
ペルテス病とは4~8歳の子供に多くみられる病で、
骨盤に繋がっている大腿骨の先端に位置する
「骨頭」と呼ばれる球状の部分が何らかの原因により
血流が途絶えて壊死してしまう病だそうで、
歩いたり走ったりして負荷を与えるだけで
徐々に潰れていき、激しい痛みを伴うそうです。
特に男の子に多く見られる病で、
それも元気な子に多いそうです。
そういえば息子はやたら元気が良くて自分の背丈より
高いところから飛び降りることも平気な子でした。
ペルテス病の症状としては通常、股関節が痛みますが、
意外と多いのが膝関節に痛みを感じることです。
私の息子がまさにこれで、
膝に何らかの原因があるものと思い込んでいましたから・・・
治療法は脚を使わないこと
ペルテス病と最初聞いた時は初めて聞く病名だったので、
なんだか怖かったのですが先生に言わせると時間はかかるが
治る病気だそうでそれを聞いた私はひとまずひと安心。
そして、治療法を聞いたんですがこれといった治療法はなく、
要は左足を使わないことで骨頭の再生を図るだけということでした。
ということで、
ペルテス病が治るまで松葉杖で生活することになり、
そこから松葉杖を使って生活することになりました。
最初は息子も初めての体験ということで意外と楽しかったみたいですが、
そこはやはり子供で、3日もすると面倒臭くなったみたいで嫌がっていました。
しかし本人もペルテス病の激しい痛みを経験している
だけにそこはじっと我慢の日々が続くことに・・・
学校に行ってもクラスの他の生徒からからかわれたり、
馬鹿にされたりすることもあったそうで、
本人はさぞ悔しかったことと思います。
そんなこんなでひとまず1カ月が過ぎて病院に行ってレントゲンを撮ったところ、
明らかに骨頭が再生していることが確認でき、松葉杖の効果がはっきりとわかりました。
おかげで息子が泣いていた膝の痛みもすっかり無くなり、
私たち親はこれでペルテス病も完治するだろうと思っていたんです。
ところが子供だけに痛みが無くなると安心してしまうのか、
以前の膝の激しい痛みも忘れてしまったみたいなんです。
というのは、ある日息子が外で遊んでいるときに、
松葉杖を担いで走り回っているのを見てしまったのです。
私は驚いてきちんと松葉杖を使う様に息子を叱りましたが、
その時従うだけでしばらくするとまた同じように走り回っているのです。
言っても聞かない息子をどうしようかと悩みましたが、
息子の気持ちもわかるだけにあまりしつこく言わないようにしていたんです。
そんな感じで2カ月が過ぎたところで
再度病院に行ってレントゲンを撮ると、
せっかく再生を始めた骨頭が潰れてしまっていました。
これにはがっかりというかなんというか・・・
とりあえず先生には松葉杖を使用して
負荷をかけないようにと指導されました。
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ペルテス病の手術療法がちょっと怖い
自宅に帰って夫婦で相談してこのままでは駄目だと感じ、
他の大きな総合病院に相談してみようという話になって、
次の日に近くの総合病院に行きました。
そこで一通り診察をして先生から言われたことは、
「入院して手術をすれば半年~1年ほどで退院できる」
という内容でした。
しかし、手術の内容というのがちょっと凄くて・・・
左足を開いた状態にして骨頭が骨盤に正しく収まる
ような状態にして再生を待つ方法ですが、
開いたままだと不便なので大腿骨を切断して、
切断した部分から下は右足と平行にして固定するとのこと。
そのあまりにおぞましい手術療法に私たち夫婦は息子に
こんなことさせるのはちょっと怖くなって断ることにしました。
どうしたらいいのか、とりあえずインターネットで調べてみたところ、
横浜にペルテス病の治療で名の通った先生がいるとのことで、
名古屋から遠いですが、早速電話で診察を申し込みました。
最終的には痛くなければ何をしても良い
レントゲン写真と診断書を持参して新幹線で横浜の病院に向かいました。
そこで初めてお目にかかった先生は見た目が
70代のかなり高齢である印象を受けた先生でした。
早速先生にこれまでの経緯をすべてお話しすると、
先生は息子のレントゲン写真を見ながら、
これなら痛みが無ければ何をやっても問題ないと指導されたんです。
それを言われた時は「えっ」って感じで拍子抜けしてしまいましたが
その後の先生のお話で納得できました。
その先生は長年ペルテス病に携わってきていて
何人もの子供たちを観察してきたそうです。
●装具を付けて生活した子供
●入院と手術を受けた子供
●何もしなかった子供
これらの子供たちがその後どうなったかというと、
これがすべて同じだったそうです。
そして何もしなかった子供たちの股関節の
レントゲン写真を見せてもらうと、
骨頭が収まる部分の骨盤側の骨が広がって
骨頭をすっぽりと覆う様になっていたんです。
つまりこれはどういうことかというと、
先生の考え方によれば、
人の骨はその足らない部分をカバー
するように出来ているということ、
骨頭が変形してもそれを補う様に
他の部分の骨が再生してくるというものでした。
遊び盛りの子供たちに無理を強いて生活させることへの
精神的な負担も加味すれば痛みがあるうちは休ませて、
痛みが無ければ飛び跳ねても問題ないとの結論に達したそうなんです。
また先生は子供たちの親からの手紙を見せてくれましたが、
そこには子供たちの親から感謝の気持ちと
その後の経緯が長々と綴られていたと記憶しています。
中には少年野球でピッチャーをしている写真もありました。
みなさんとても経過良好で元気に暮らしているとのことでした。
本来なら医者には守秘義務があるので
このようなことはしてはいけないはずですが、
患者のことを第一に考えて見せてくれたんでしょう。
21歳になった息子は元気に走り回っています
次の日から松葉杖に頼らない普通の生活が始まり、
2年後には少年野球チームに入り飛び跳ねていました。
あれから15年、21歳になった息子は元気に冬はスノボ、
大学ではライブ活動でドラムを演奏しながら大学生活をエンジョイしています。
ただ、後遺症かどうかは分かりませんが、
たまにギクってなることがあるそうです。
それと、床に足を延ばしてみると左足が1~2cmくらい短いです。
足が短くなったのは明らかにペルテス病の後遺症と思われますが、
これだけ元気に暮らしていけるのですから、
先生の指導が正しかったと思います。
ペルテス病の子を持つ親御さんもあまり深刻に考えないで
気楽にいろんな病院でお話を聞いたほうが良いと思いますよ。